四竜帝の大陸【赤の大陸編】
第十一話
ハクをその場に残し。
竜帝さんは私を抱いたまま浴室へと連れて行き、タイルの床に立たせ……。
「……かわいくないわね、この服。こんなもの、もういらないわよね?」
「え?」
右手の爪を一瞬でナイフのように伸ばして、私から服を取り去った。
「ッ!?」
それはそれは素早く、手際よく切り取って……。
驚きで口が開いてしまった私を軽々と持ち上げ、花の香りがする淡いピンクの泡で満たされた白い陶器のバスタブへと下ろす。
身を包む軟らかな泡の華やかだけど甘すぎない香りに、驚きで固まっていた顔が緩む。
そんな私を見て、赤の竜帝さんが満足そうに頷いた。
「ふふっ、良い香りでしょう? この入浴剤、城にある工房で作った新作なの。人間より竜族は嗅覚が優れているから、赤の竜族では調香を生業にする者も多くいるの。香水や練香だけじゃなく入浴剤や食品用香料も生産していて、この数年で生産量が安定してきたから他大陸への輸出も本格的に始めたのよ」
そう言うと、彼女は布切れ状態に変わってしまった衣類だったものを床から拾い集めて、壁際にある長方形の藤籠にぽいっと投げ込んだ。
その服……シャデル君がくれた……シャデル君、ごめんなさいっ!
私は頭の中で彼に謝ってから、周囲を改めて見た。
広さは20畳弱位?
ミントグリーンの唐草模様のタイルが敷き詰められたここが浴室……ここあるのは竜体のハクちゃんが泳げるような浴槽ではなく、猫足のついた白い陶器のバスタブだった。
シャワー、洗面設備……あ、トイレもあるみたい。
壁際にはチェストと、入浴剤や化粧品らしきものがずらーっと置かれた飾り棚と、漆塗りの衣装箱……重厚で存在感のあるそれは、艶のある黒い色をしていた。
竜帝さんは私を抱いたまま浴室へと連れて行き、タイルの床に立たせ……。
「……かわいくないわね、この服。こんなもの、もういらないわよね?」
「え?」
右手の爪を一瞬でナイフのように伸ばして、私から服を取り去った。
「ッ!?」
それはそれは素早く、手際よく切り取って……。
驚きで口が開いてしまった私を軽々と持ち上げ、花の香りがする淡いピンクの泡で満たされた白い陶器のバスタブへと下ろす。
身を包む軟らかな泡の華やかだけど甘すぎない香りに、驚きで固まっていた顔が緩む。
そんな私を見て、赤の竜帝さんが満足そうに頷いた。
「ふふっ、良い香りでしょう? この入浴剤、城にある工房で作った新作なの。人間より竜族は嗅覚が優れているから、赤の竜族では調香を生業にする者も多くいるの。香水や練香だけじゃなく入浴剤や食品用香料も生産していて、この数年で生産量が安定してきたから他大陸への輸出も本格的に始めたのよ」
そう言うと、彼女は布切れ状態に変わってしまった衣類だったものを床から拾い集めて、壁際にある長方形の藤籠にぽいっと投げ込んだ。
その服……シャデル君がくれた……シャデル君、ごめんなさいっ!
私は頭の中で彼に謝ってから、周囲を改めて見た。
広さは20畳弱位?
ミントグリーンの唐草模様のタイルが敷き詰められたここが浴室……ここあるのは竜体のハクちゃんが泳げるような浴槽ではなく、猫足のついた白い陶器のバスタブだった。
シャワー、洗面設備……あ、トイレもあるみたい。
壁際にはチェストと、入浴剤や化粧品らしきものがずらーっと置かれた飾り棚と、漆塗りの衣装箱……重厚で存在感のあるそれは、艶のある黒い色をしていた。