四竜帝の大陸【赤の大陸編】
第二十九話
「…………驕るなっ……」
ハクの、真っ赤な両手は。
その身を裂いた蛇を、無鷲掴みにし。
「導師イマームッ!!!」
身体から引き抜き、床に叩き付けると。
青白い炎が石の床を駆け、うねり、蛇達を飲み込む。
同時に。
ハクの反った背が、床に引き寄せられ……え?
「ハクッ!?」
「ちょっ……旦那っ!?」
仰向けに倒れたハクが後頭部を強打する音が、荒れた室内に響いた。
「ハ……ハハハ、ハク! 頭、大丈夫!? ハクちゃっ……」
「なーにふざけてんですか!? もう、意外とお茶目さんっすねぇ~。ほら、さっさと起きてくださいよ! 姫さんがびっくりして…………旦那?」
「ど、し……たの? ねぇ、起き…て、ハクちゃっ……」
死にたくても死ねないくらい丈夫なのだと言っていたハクが、仰向けに倒れたまま……ピクリとも動かない。
「ハクちゃ……ハクッ!?」
ハクの黄金の眼は、閉じられたまま。
呼んでも、返事をしてくれない。
「ダ、ダルフェ! ハクちゃんの様子が変よっ……」
ダルフェさんに抱えられたまま、彼の胸を叩いた私の手が震えた。
「あ、あ……どうして……ハク、ハクちゃ……」
「……」
鮮やかな緑の瞳で、パニック寸前の私と床に倒れたままのハクを交互に見てから、ダルフェさんは私を床におろし、言った。
「姫さん、ここでちょっと待っててくれ」
「ダルフェッ……」
ダルフェさんが歩み寄り、長身を屈めて仰向けに横たわるハクの体に手を伸ばし、その上半身に触れた。
「……………旦那、あんた全く治癒してないじゃないすかっ!? 一体どうしっちゃんで……え?」
「、、、……」
ハクの口元が。
ダルフェさんの声に反応して、微かに動いた。
「……、、……、、、」
「……………………姫さんを、ですか?」
私には聞き取れなかったハクの言葉を聞いたダルフェさんが、私へと振り向き。
「姫さん、まぁ、うん。そういうことだから勘弁な?」
赤い騎士服の、左腕の袖口の折り返しに右手の指を入れ。
「……え?」
そこから、鋼色の糸をすーっと引き抜いた。
……それ、なんに使うんですか?
ハクの、真っ赤な両手は。
その身を裂いた蛇を、無鷲掴みにし。
「導師イマームッ!!!」
身体から引き抜き、床に叩き付けると。
青白い炎が石の床を駆け、うねり、蛇達を飲み込む。
同時に。
ハクの反った背が、床に引き寄せられ……え?
「ハクッ!?」
「ちょっ……旦那っ!?」
仰向けに倒れたハクが後頭部を強打する音が、荒れた室内に響いた。
「ハ……ハハハ、ハク! 頭、大丈夫!? ハクちゃっ……」
「なーにふざけてんですか!? もう、意外とお茶目さんっすねぇ~。ほら、さっさと起きてくださいよ! 姫さんがびっくりして…………旦那?」
「ど、し……たの? ねぇ、起き…て、ハクちゃっ……」
死にたくても死ねないくらい丈夫なのだと言っていたハクが、仰向けに倒れたまま……ピクリとも動かない。
「ハクちゃ……ハクッ!?」
ハクの黄金の眼は、閉じられたまま。
呼んでも、返事をしてくれない。
「ダ、ダルフェ! ハクちゃんの様子が変よっ……」
ダルフェさんに抱えられたまま、彼の胸を叩いた私の手が震えた。
「あ、あ……どうして……ハク、ハクちゃ……」
「……」
鮮やかな緑の瞳で、パニック寸前の私と床に倒れたままのハクを交互に見てから、ダルフェさんは私を床におろし、言った。
「姫さん、ここでちょっと待っててくれ」
「ダルフェッ……」
ダルフェさんが歩み寄り、長身を屈めて仰向けに横たわるハクの体に手を伸ばし、その上半身に触れた。
「……………旦那、あんた全く治癒してないじゃないすかっ!? 一体どうしっちゃんで……え?」
「、、、……」
ハクの口元が。
ダルフェさんの声に反応して、微かに動いた。
「……、、……、、、」
「……………………姫さんを、ですか?」
私には聞き取れなかったハクの言葉を聞いたダルフェさんが、私へと振り向き。
「姫さん、まぁ、うん。そういうことだから勘弁な?」
赤い騎士服の、左腕の袖口の折り返しに右手の指を入れ。
「……え?」
そこから、鋼色の糸をすーっと引き抜いた。
……それ、なんに使うんですか?