四竜帝の大陸【赤の大陸編】
そして、懲りずに奴と話し合おうとして……不用意に近づき、短剣で斬られた。
2人の死体の位置から考えると、倒れたバイロイトは幼竜達を追うために背を向けた奴を撃ってから……銃声に気づいたミチがここに戻り……。

「クロムウェル。僕の胸ポケットにある携帯電鏡を使って、ニングブックを呼び出して」
「……はい」

クロムウェルは僕の伝鏡を取り出し、鏡面を指先で弾いて二言三言呟いてから僕の口元へと寄せた。
今の僕の顔を、表情を相手に見せないための配慮かもしれない。
僕、そんなに酷い顔しているのかな?僕はバイロイトを傷つけた短剣の刃を踏みつけながら、電鏡の向こうにいる竜騎士ニングブックに言った。

「ニン? ああ、僕だよ。迎えに来て欲しいんだ」

竜体で空を飛ぶのが好きなはずの僕が言った言葉に、ニングブックが異常を感じて息を飲む音がした。
隠してもしょうがないから、理由を正直に言う。

「急いで迎えに来て。え、うん。腕が無いんだ、両方ともね。だから、飛べない」

もう一つ、言うべき事を。
伝えるべき事を、口にした。

「ああ、それから」

それは、ニングブックに言っているというよりも。

「バイロイトは、死んだ」


僕が僕自身に、言った言葉だった。





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