四竜帝の大陸【赤の大陸編】
避難道を無事に抜け、ラーズとコナリを迎えに行くと。
街外れの丘にある大木の根元にしゃがみこんで、泣いていた。
僕とバイロイトを担いだクロムウェルの姿を目にし、安堵に揺るんだ顔は数秒後にはこれ以上は無いというほどぐちゃぐちゃになっていた。
僕は血だらけなうえ両腕が無く、しかも……クロムウェルの抱えているモノが遺体だと理解したからだ。
この丘には、小さな黄色い花を日没後に咲かせるリリエ草が多く自生していた。
虫を集めるために強く香るその花の上にバイロイトを寝かせた後、クロムウェルは支店屋上に導師の残骸の回収の戻り……ミチもここへ連れて来た。
帝都からの迎えを待つ間。
月の光の下で、僕等はバイロイトを囲むように座って過ごした。
朝焼けの空の先に、こちらに向かってくる見慣れた姿を見つけ。
その足に、遺体運搬専用の長方形の籠が下げられているのを目にし。
子供達は際限無く込み上げる嗚咽を我慢できず、再び大きな声で泣き始めた。
その泣き声を聞きながら。
僕は座ったまま身をかがめて、朝日を浴びて萎れはじめた花を口で摘み。
「……さよなら、お兄」
開くことの無いその目蓋の上に、そっと置いた。
街外れの丘にある大木の根元にしゃがみこんで、泣いていた。
僕とバイロイトを担いだクロムウェルの姿を目にし、安堵に揺るんだ顔は数秒後にはこれ以上は無いというほどぐちゃぐちゃになっていた。
僕は血だらけなうえ両腕が無く、しかも……クロムウェルの抱えているモノが遺体だと理解したからだ。
この丘には、小さな黄色い花を日没後に咲かせるリリエ草が多く自生していた。
虫を集めるために強く香るその花の上にバイロイトを寝かせた後、クロムウェルは支店屋上に導師の残骸の回収の戻り……ミチもここへ連れて来た。
帝都からの迎えを待つ間。
月の光の下で、僕等はバイロイトを囲むように座って過ごした。
朝焼けの空の先に、こちらに向かってくる見慣れた姿を見つけ。
その足に、遺体運搬専用の長方形の籠が下げられているのを目にし。
子供達は際限無く込み上げる嗚咽を我慢できず、再び大きな声で泣き始めた。
その泣き声を聞きながら。
僕は座ったまま身をかがめて、朝日を浴びて萎れはじめた花を口で摘み。
「……さよなら、お兄」
開くことの無いその目蓋の上に、そっと置いた。