四竜帝の大陸【赤の大陸編】
そうか。
なるほど。
我は。

「…………あれはりこのモノだからな」

あの幼生を。
『連れて来た』、のだな。

「あの子は、トリィさんを主にしたのね?」
「そうだ」

あれの意思を酌んだのでは無く、我の意思で『連れて来た』ということか。

「賢い子だわ」
「そうか?」
「そうよ」

言いながら。
肌をさらした竜族らしからぬ衣服を纏う身を寄せ、我の首に両腕を巻いた。

「……どうした?」

吐息が触れる距離にあるその顔にあるのは。
露な疑問と、微かな戸惑い。
寄せた眉の下で、赤い瞳が細まる。

「貴方が冷静で、驚いてるの」
「…………冷静?」

冷静だと?
この我が?
どこが?
今の我のどこに、“冷静”が存在するのだ?



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