四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「我は、ハク」

以前の我は答えなかった。
否、答えを持たなかった。
だが、今は。

「りこのハク、だ」

答えを、我は得たのだ。
りこ。
貴女が、我に与えてくれたのだ。

「ヴェルッ……貴方は……」

赤い唇が言葉を発し。
次を躊躇い、発せられりことなく飲まれたと同時に。
空が、瞬時に陰り。
音も無く断たれた大気が、空を滑る。

「……来たようね」

ブランジェーヌの赤い目玉が天に向けられ。
それを目指すかのように、青を纏った銀の矢が空より降り立つ。

「遅くなり、申し訳ありません。ヴェルヴァイド様、赤の竜帝陛下」

地に片膝を着き、頭をたれるは<青の竜騎士>。

「いらっしゃい。待っていたわ、カイユ」

ブランジェーヌは両腕を天へ伸ばし、破顔する。 

「お帰りなさい、ダルフェ」

そして。

真紅の竜が、赤の大地に舞い降りた。







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