四竜帝の大陸【赤の大陸編】
吐き気が強くなり、手足が小刻みに震えてきて頭が割れるように痛む……。
「大丈夫!? 昨日は元気だったのに……あ。でも夕食は食べてなかったよね……どうしよう……竜族って人間より丈夫だってきいてたから、僕は平気だと思って……どうしよう……おじいちゃんに薬をもらって……でも、人間の薬でも効くのかな?」
その場にうずくまってしまった私の周りを、シャデル君はぐるぐると歩いた。
昨夜出された食事は、串に刺して焼いたお肉と魚の燻製、硬いビスケットとライチのようなごつごつした皮のフルーツだった。
銅製のコップには、ミルクたっぷりのあたたかい紅茶。
こんがりと焼かれたお肉からは、食欲をそそる香りがしたし、陽が落ちると急激に気温が下がり肌寒いほどだったので、あたたかな飲み物はとても魅力的だった。
でも、手が伸びなかった。
せっかく用意してくれたのに、食べることができなかった。
あの時、私が“食べたい”って思っていたのは。
あの時、私の口が、舌が思い出し求めていたのは。
ハクの味、だった。
彼のかけらでスキテルさんが作ってくれたネックレスが奪われていなかったら、私はあれを口にしていたと思う……。
私は毎日必ず、数粒のハクのかけらを食べていた。
優しい甘さのそれは、私にとってはどんなお菓子より美味しくて……。
一度にたくさん食べると、体がふわふわしてぽかぽかしてきて、気持ちよくなって眠くなってしまうので、食べすぎには気をつけていて……もう何日、私はあれを食べてないんだろう?
あ……私、ハクと離れてから何も口にしていない?
食べ物どころか、水も……だから体が変なの?
変……私、変よ……昨日の女性の口ぶりでは何日も寝ていたみたいだった。
つまり数日間食事も水もとってないのに……確かに今、気分最悪で体調は悪いけれど……普通はもっと……。
「大丈夫!? 昨日は元気だったのに……あ。でも夕食は食べてなかったよね……どうしよう……竜族って人間より丈夫だってきいてたから、僕は平気だと思って……どうしよう……おじいちゃんに薬をもらって……でも、人間の薬でも効くのかな?」
その場にうずくまってしまった私の周りを、シャデル君はぐるぐると歩いた。
昨夜出された食事は、串に刺して焼いたお肉と魚の燻製、硬いビスケットとライチのようなごつごつした皮のフルーツだった。
銅製のコップには、ミルクたっぷりのあたたかい紅茶。
こんがりと焼かれたお肉からは、食欲をそそる香りがしたし、陽が落ちると急激に気温が下がり肌寒いほどだったので、あたたかな飲み物はとても魅力的だった。
でも、手が伸びなかった。
せっかく用意してくれたのに、食べることができなかった。
あの時、私が“食べたい”って思っていたのは。
あの時、私の口が、舌が思い出し求めていたのは。
ハクの味、だった。
彼のかけらでスキテルさんが作ってくれたネックレスが奪われていなかったら、私はあれを口にしていたと思う……。
私は毎日必ず、数粒のハクのかけらを食べていた。
優しい甘さのそれは、私にとってはどんなお菓子より美味しくて……。
一度にたくさん食べると、体がふわふわしてぽかぽかしてきて、気持ちよくなって眠くなってしまうので、食べすぎには気をつけていて……もう何日、私はあれを食べてないんだろう?
あ……私、ハクと離れてから何も口にしていない?
食べ物どころか、水も……だから体が変なの?
変……私、変よ……昨日の女性の口ぶりでは何日も寝ていたみたいだった。
つまり数日間食事も水もとってないのに……確かに今、気分最悪で体調は悪いけれど……普通はもっと……。