四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「おじいちゃんに薬をもらってくるから、待っててね! すぐ戻ってくるから……あれ?」
出入り口に垂らされた厚手の布を上げて外へ出ようと一歩踏み出したまま、彼は動きを止めた。
「いつも日の出前から朝食の支度が始まるんだけど……どうして誰も外にいないのかな? 煮炊きの様子も無くて静かだし……まだ寝てるなんて、そんなこと今まで無いのに……なんか、変だよ。こんなに静かなんて、変だ……すごく変だよ……」
私へと振り向いた顔には、不安そうな表情が……その表情を目にした私にも、その不安は伝染した。
体の不調をなけなしの気力で押さえつけ、這いながら彼の横に移動し、私も入り口から外を見回していると……。
20メートルほど離れた距離にあるテントの入り口の布が動き、人が出てきた。
シャデル君もそれに気づき、首を傾げる。
「アリシャリと、術士のおじさん? それと……あのおじさんは知らないな。なんでおじいちゃんのとこから?」
テントから出てきたのはアリシャリという青年と私にこの首輪をした術士と、マスタード色の貫頭衣を着てのこれでもかと膨らんだ腹部を茶の帯で巻いている初老の男性だった。
「……アリシャリ達がこっちに来る。文句でも言いに来る気かな?」
まっすぐにこちらへと足を進めるアリシャリの左手首には、ハクの欠片のネックレスがブレスレッドのように巻かれていた。
それを見た私は強い不快感を持ち、そしてそれ以上に怒りが体の芯から湧き出る。
あれは、あれは……あれはハクのかけら。
私のことを『中身』が崩れ壊れるほど想ってくれた彼が、黄金の瞳からぽろぽろと零した……あのかけらはハクの一部、彼自身。
なのに、それをっ……!
「、、、、! ……ッ」
返して!
それは私の大事な、私だけのっ……!!
その怒りが力になり、私は立ち上がって3メートルほどの距離まで歩み寄ってきた彼を睨んだ。
出入り口に垂らされた厚手の布を上げて外へ出ようと一歩踏み出したまま、彼は動きを止めた。
「いつも日の出前から朝食の支度が始まるんだけど……どうして誰も外にいないのかな? 煮炊きの様子も無くて静かだし……まだ寝てるなんて、そんなこと今まで無いのに……なんか、変だよ。こんなに静かなんて、変だ……すごく変だよ……」
私へと振り向いた顔には、不安そうな表情が……その表情を目にした私にも、その不安は伝染した。
体の不調をなけなしの気力で押さえつけ、這いながら彼の横に移動し、私も入り口から外を見回していると……。
20メートルほど離れた距離にあるテントの入り口の布が動き、人が出てきた。
シャデル君もそれに気づき、首を傾げる。
「アリシャリと、術士のおじさん? それと……あのおじさんは知らないな。なんでおじいちゃんのとこから?」
テントから出てきたのはアリシャリという青年と私にこの首輪をした術士と、マスタード色の貫頭衣を着てのこれでもかと膨らんだ腹部を茶の帯で巻いている初老の男性だった。
「……アリシャリ達がこっちに来る。文句でも言いに来る気かな?」
まっすぐにこちらへと足を進めるアリシャリの左手首には、ハクの欠片のネックレスがブレスレッドのように巻かれていた。
それを見た私は強い不快感を持ち、そしてそれ以上に怒りが体の芯から湧き出る。
あれは、あれは……あれはハクのかけら。
私のことを『中身』が崩れ壊れるほど想ってくれた彼が、黄金の瞳からぽろぽろと零した……あのかけらはハクの一部、彼自身。
なのに、それをっ……!
「、、、、! ……ッ」
返して!
それは私の大事な、私だけのっ……!!
その怒りが力になり、私は立ち上がって3メートルほどの距離まで歩み寄ってきた彼を睨んだ。