四竜帝の大陸【赤の大陸編】
震えは手だけじゃなく、ハクの全身に広がって……。

「り、りこっ…りこっ……我はっ、我はっ、りこ……りこっ、りっ……」

私はハクの震える手に、自分の手を添えた。
そうしていないと、彼の手は私の顔から、肌から離れていってしまいそうだった。

「ハク……ハク、ハクッ」
「りこっ……りこ、我は貴女がっ……りこがっ……我はっ、我はっ!」

私は、自分が間違えていたことに気づいた。
謝るのは、私がハクに謝るのは。
心配をかけてしまったこと、迷惑をかけたことを謝る前に……。

「ごめんなさいっ……ごめんね、ハク」

ハクに、私は謝らなきゃいけない、言わなきゃいけない。

「ハク、私が目の前で転移させられちゃって……とっても怖かったよね? 不安だったよね……何日も会えなくて……寂しかったよね?」
「……りこ、我はっ……足りぬのだっ……貴女が、りこが足りぬ! 足りぬのだっ!!……もっと、もっと、もっと我をっ……我の名を呼んでくれっ……!」

私を、私だけを映す黄金が。
熔けて、揺らぐ……。

「怖かったよね……とっても怖かったでしょう? ごめんね、貴方を独りにして、ごめんなさいっ……」

ハクは、ハクは。
とても怖がりだと、私は知っているのに……私だけが、わかっていたのに。

「……りこ……りこ、りこっ」

私の名を、貴方が呼ぶ。

「ハク、ハクッ……ハクッ」

貴方の名を、私が呼ぶ。

「りこ、りこ……りこっ」
「ハク、ハク。ハク、ハクッ……」

何度も何度も、何度も。
互いの名を呼びながら。

「りこ……りこっ……り……こ……りこ」

惹かれあうまま唇を合わせ。
想いのままに、含み絡ませて……。

「ハク、ハッ……ん、ぁ、あぁ、ハクッ……ふぁ、んっ……ハッ……」
「…………りこ」


「え~っと、盛りあがってんところ、悪いんですがねぇ~」


はい?

この声は……。


「ダ、ダダダダルフェッ!?」

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