四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「!? だっ……だめっ、カイユ! シャデル君は違うのっ!」
「カイユ、返事をするんだ。そのほうが姫さんも安心するから。ほら、それは俺に渡して」
ダルフェさんはカイユさんに歩み寄り、左手を差し出した。
カイユさんは、ダルフェさんの手にアリシャリの腕を置くと。
「……分かっているわ、ダルフェ……」
小さな声で、そう言って。
血で汚れた白い手袋をゆっくりと外し、地面へと落とした。
「らしいけど、らしくなかったね? ハニー」
「そうね……」
足元にある手袋に視線を向け、俯くと……短くなったカイユさんの銀髪が、その動きに合わせてさらりと揺れた。
「トリィ様……申し訳ありません。このような見苦しい様を……トリィ…さ、ま。トリィ、トリィッ……貴女が無事で、本当に良かった……あぁ、私っ……ごめんなさい、母様がついていながら第二皇女などに貴女をっ……ごめんねっ……母様を許してっ……」
ゆっくりとあげられ、ハクに抱えられた私へと向けられたカイユさんの顔には。
その水色の瞳から、ぽろぽろと零れる涙。
噛み締めた唇が、痛々しいほどに震えて……。
「カイユ……カイユッ……泣かないで、泣かないでっ! ごめ……ごめんなさい、私が悪かったのっ、カイユは悪くないのっ!」
カイユさんに手を伸ばすと、何も言わなくてもハクが足を進めてくれた。
「りこの好きにするがいい」
だから、私の手は。
この両手は。
カイユさんへと届き。
触れることができた。
「その代わり、今宵は我の好きにさせてもらうぞ?」
ハクに抱かれながらカイユさんの首に両腕で抱きついた不安定な姿勢の私を、支えてくれながらハクが言い。
うんうんと頷く私の頭を、カイユさんの手が優しく撫でて……ぎゅっと、抱いてくれた。
「カイユ、返事をするんだ。そのほうが姫さんも安心するから。ほら、それは俺に渡して」
ダルフェさんはカイユさんに歩み寄り、左手を差し出した。
カイユさんは、ダルフェさんの手にアリシャリの腕を置くと。
「……分かっているわ、ダルフェ……」
小さな声で、そう言って。
血で汚れた白い手袋をゆっくりと外し、地面へと落とした。
「らしいけど、らしくなかったね? ハニー」
「そうね……」
足元にある手袋に視線を向け、俯くと……短くなったカイユさんの銀髪が、その動きに合わせてさらりと揺れた。
「トリィ様……申し訳ありません。このような見苦しい様を……トリィ…さ、ま。トリィ、トリィッ……貴女が無事で、本当に良かった……あぁ、私っ……ごめんなさい、母様がついていながら第二皇女などに貴女をっ……ごめんねっ……母様を許してっ……」
ゆっくりとあげられ、ハクに抱えられた私へと向けられたカイユさんの顔には。
その水色の瞳から、ぽろぽろと零れる涙。
噛み締めた唇が、痛々しいほどに震えて……。
「カイユ……カイユッ……泣かないで、泣かないでっ! ごめ……ごめんなさい、私が悪かったのっ、カイユは悪くないのっ!」
カイユさんに手を伸ばすと、何も言わなくてもハクが足を進めてくれた。
「りこの好きにするがいい」
だから、私の手は。
この両手は。
カイユさんへと届き。
触れることができた。
「その代わり、今宵は我の好きにさせてもらうぞ?」
ハクに抱かれながらカイユさんの首に両腕で抱きついた不安定な姿勢の私を、支えてくれながらハクが言い。
うんうんと頷く私の頭を、カイユさんの手が優しく撫でて……ぎゅっと、抱いてくれた。