四竜帝の大陸【赤の大陸編】
ありがとうございましたーーーという普通の言葉を、どこをどう見ても“普通”じゃない無い冷酷魔王系顔のハクに言われた当人は。

「、、、、ッ、、、、、」

 シャデル君の震えは、驚きで吹っ飛んでしまったみたいで。
 今度は石のように固まってしまっていた。

「? りこ」
「な、なに? ハクちゃん」

 そんな彼の姿にハクは。

「我は“ありがとう”の使用方法を間違ったのか?」

 射抜くような視線でシャデル君を串刺し状態にしたまま、私に訊いてきた。

「我としては。“どういたしまして”が返されるものと思っておったのだが?」
「えぇ!?」

 ど、どういたしましてを要求しますか!?
 いい歳(いい歳どころか、超高齢者!)した大人が祖父を殺された少年の額を踏んで、しかもその足を顔の横にダンッなんてやってさらに怖がらせておきながらぁあああ!?
 無理でしょ、無理! 
 シャデル君、固まっちゃってるもの!



「………………どっ」



「え?」

 小さな、小さな音。
 音……声。
 シャデル君の!?


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