四竜帝の大陸【赤の大陸編】
 結果は“こう”だけど。
 シャデル君には申し訳無いことになってしまったけれど。

「うん。ありがとう、ハク」

 得意気なハクの頬に、胸に湧き上がったあたたかな気持ちを込めてキスをした私に。

「どういたしまして、なのだ」

 と、ハクが言い。

「……あ~あ。気を失うのも無理ないな。よく頑張ったな、少年! よし、あっちのテントで寝かしといてやろうなぁ」

 ダルフェさんはカイユさんの膝を受けたお腹を幸せそうに右手で摩りながら、左手でぐたりとしたシャデル君の胴を軽々と持ち。

「頑張ったご褒美に、あんたの爺ちゃん殺した男とあの術士はこの俺が引き受けてやるから、術式で眠らされてる奴等と一緒に寝てな……くっ、くくっ。いや、参ったなぁ~、くくっ」

 言いながら、笑った。
 その笑いは。
 私にもわかるほど、自嘲的なもので。

「ダルフェ?」

 私が尋ねるまでも無く。
 カイユさんが、問いかけた。 
 答えた顔が向けられていたのは、問いかけたカイユさんではなくて。

「あそこで腰抜かしてる術士は、赤の竜帝の契約術士だった男です」

 私……じゃなくて、私を抱いて立っているハクだった。


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