四竜帝の大陸【赤の大陸編】
第九話
「……なぜ?」

旦那のかけらは。
カイユの捥いだ腕ごと消えていた。

「なぜ、無いのっ!?」

ぎりり、という歯の軋む音が。
微かに震えているカイユの唇から漏れる。
あぁ、怒ってるなぁ。
ハニーはすっげぇ、怒っている。

「私、なんて失態をっ……」

自分自身に、カイユは怒っていた。



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