四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「ダルフェ?」

==……導師が係わっている、のかもしれない。

「導……なっ!? どういうことっ!?」

導師の最終的な狙いは<ヴェルヴァイド>なのだと四竜帝達は考えている……と、舅殿は言った。
竜族の命ともいえる竜珠。
身体を裂いてそれを奪っていく、残酷な珠狩りの横行。
珠狩りの始まりは、黒の大陸からだった。
それが海を超え、被害は四大陸全てに広がっていった。
黒の大陸……第二皇女の使った魔薬(ハイドラッガー)は、黒の大陸の禁薬で……。
俺達は、<ヴェルヴァイド>はこれからどこへ行こうとしている?
そうだ、黒の大陸だ。
異界人の姫さんを連れて黒の大陸に“お引越し”の途中……だ。

「ダルフェ! 説明してちょうだい!!」

カイユの荒げた声が、鼓膜を叩き。
まだ迷いの中にある俺の思考を、纏め上げていく。

==とりあえず、城に戻ろう。嫌な予感がするんだ。

「……道中、あなたが知っていて私が知らないことを、全部話して」

==了解、ハニー。

了解といっておきながら。
言うべき事と、まだ言うべき事ないことを。
俺は脳内で振り分け始める。

君に全てを伝えないのは、伝えられないのは。
それは。
<ヴェルヴァイド>のためでも、竜族のためでもない。
君と子の……君の、幸せのためだ。

なぁ、カイユ。
君には言わない、言えないけれど。

嘘吐きで卑怯な俺の共犯者は。
愛しい君の、父親だ。





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