黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
過去から──

 絶望の色は漆黒。
 全ての存在が消えていく。
 光は届かない。
 音、色、匂い、あらゆるものが暗闇に呑み込まれ、全てが意味を失う。
 その空間と時間の中でうずくまり、指一つ動かさず、ひたすら自分の存在を否定し続けた。このまま膝を抱えていれば、自分自身も無になれると思っていた。

 果穂に会いたい。
 でも、会えない。
 果穂に会いたい。
 もう、会えない。
 会いたい。
 会いたい。
 会いたい。
 会いたい。
 会いたい。
 伝えたい。
 でも、叶わない。
 真っ暗で何も見えない。

 その時、不意に耳に届いた言葉。
 暗黒の世界で独りさまよう頭に直接、何者かが囁いた。

「その願い叶えてやろう。
 ただし、条件がある。
 3人の悪霊を成仏させてこい」

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