黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
もう一度念入りに周囲を見回し、無意識に止めていた息を大きく吐き出す。気が付くと、全身が冷たい汗でジットリと濡れていた。
霊は深夜だけではなく、昼間もそこにいる。
そこにいて、俺達を見ている。
慌てて、お気に入りから心霊スポット一覧を選択する。確か、八幡橋交差点は・・・
「少女が自宅までついてきて、呪い殺される、か」
能力がある人が見れば、俺の背中には少女が乗っかっているかも知れない。想像するだけで、真夏だというのに背筋がゾクゾクと寒くなる。
目を閉じて深呼吸をし、拳を握り締める。
いや、願ったり、叶ったりだ。
俺は悪霊を成仏させなければならない。自宅に来るのならば、その時に送ってやるさ。
しかし、どうすれば成仏させる事ができるのだろうか?それがまだ分かっていない。
俺は交差点を離れ、ひとまず帰宅することにした。少女の姿が消えた今、ここにいても仕方がない。
自転車を起こす手が小刻みに震える。
正直、存在を確認した今、悪霊が怖い。
対処の方法が分からないことが、何よりも恐ろしい。
それでも俺は―――