黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~

信愛病院跡地──

肝試しに行った人達の証言はほぼ同じだ。
正面玄関の自動ドアのガラスは割られていて、そこから中に入る事ができる。光はまったく届かず、懐中電灯が必要。中に入り広いロビーを真っ直ぐに進み2階に上がると、あの事件現場に到着。その場所に暫くいると、どこからともなく現れた人影に襲われる。

要は、あの事件の現場に悪霊がいて、来る人を襲うということだ。確かに八幡橋交差点の時よりは厳しいが、悪霊だけに条件的にはどこも似た様なものだろう。


大事な事は対話。
悪霊といっても、元は同じ人間だ。話して分からないはずがない。

この安易な考えが生命の危機に繋がるなど、全く思いもしなかった。瑠衣は確かに言ったのに「運が良かっただけ」だと。


翌日の7時過ぎ──
車庫から自転車を引っ張り出し、俺は信愛病院跡地に向かった。

 



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