黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~

「あー何?」
いつも通りの無愛想な対応に、意味もなく安堵する。
「今日は補習ないし、ゆっくりしたいんだけど・・・切っていい?」
「ちょい待て。次の心霊スポットに着いたから、突入する前に一応報告しとこうと思って」
「あ、そう。で、どこ?」
「信愛病院」
「は?」
「信愛病院だってば。実は、もう敷地内にいるんだよ。今から入るところ」
「ちょ、ちょっと待って!!信愛病院は・・・信愛病院だけは!!」
「大丈夫だって。まだ昼間だし、悪霊だって話せば分かるって。じゃあな、報告したからな!」


一方的に通話を終えると、俺は拳をグッと握り締めて気合いを入れる。
「よし行くか!!」
駐車場を奥へと進み、既にガラスが無い正面玄関から内部に足を踏み入れる。

埃が積もった床に、無数の足跡が残っている。
そういえば、ここは元々地元のヤンキー達のたまり場になっていたらしい。そうだ、ここで何人も死んだ。もしかしたら・・・

脳裏に次々と不吉な事が浮かび、思わず足が止まる。
「や、やっぱ止めようかな」
弱気が口をついた時、真っ直ぐ奥へと続く通路の奥に人影が見えた。

 


< 46 / 100 >

この作品をシェア

pagetop