黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
▼過去との決別

瑠衣は俺の正面に移動すると、背中を壁に預ける。そして、伏し目がちに、声を震わせながら話し始めた。


「・・・私、中学2年まで、すぐそこにある寺西中学校に通ってたの。見た目は今でもスペシャルキュートだけど、成績も常に学年トップでね、マンガの主人公並みのハイスペックだったのよ」
「は?」
おいおい、今の状況分かってるのか?

何の脈絡も無い話が続く。
「特に問題も無く、それなりに楽しく中学校生活を送ってたのよ。3年前の5月までは・・・」
突然瑠衣の表情が曇り、言葉が途切れた。
「・・・何かあったのか?」
「う、うん・・・」
いつもと違い、瑠衣の歯切れが悪い。

「忘れもしない、3年前の5月2日・・・この日、私の人生が狂った」
「狂った?」
瑠衣は小刻みに震えながら、それを必死に抑える様に自分自身を強く抱き締める。その様子から、瑠衣にとってどんなにツラい出来事なのかが分かる。


「この日の放課後、校門を出ようとした私は突然声を掛けられた───・・・

 






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