黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
私は金髪の人に背を向けて校舎に引き返すと、3階にある3年生の教室に向かった。
服部先輩は確か2組だったはずだ。階段を上がって2番目の教室を、恐る恐る覗き込む。あそこで待ち伏せしていたそいうことは、まだ教室にいるのだとは思うが・・・
「何か用か?」
不意に聞こえてきた声に、まるでマンガの様に飛び上がってしまった。そんな私の反応に、声の主が高らかに笑う。
「おいおい、お前はお笑い芸人か?」
そちら向き、思わず目を丸くする。声の主が、私が探しにきた服部先輩だったのだ。
「服部先輩ですよね?」
僅かに震える声で、本人であることを確認する。服部先輩は軽く笑みを浮かべたまま、首を縦に振る。
「そうだよ。俺に何か用?」
「あ、あの・・・校門に金髪の人がいて、服部先輩に伝えて欲しいと・・・」
服部先輩の表情は変わらない。
「何て?」
「隣の信愛病院跡地で待ってる。と」
「分かった」
服部先輩はそう答えると満面の笑みを浮かべ、私の横を通り抜けた。
「ふう・・・」
嫌な役目を済ませた安堵感から深くため息を吐くと、急いで教室を後にする。
私には関係無いこと。
私は伝言を頼まれただけ。