黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
▼残るモノ
「帰るか・・・」
自分を奮い立たせる様に気合いを入れ、勢い良い立ち上がる。そして、座り込んでいる瑠衣に手を伸ばした。
次の瞬間、パンという乾いた音響いた。瑠衣が俺の手を思い切り払ったのだ。
「私が来なけりゃやられてたクセに、生意気よ!」
一瞬驚いたが、いつもの瑠衣に戻ったのだと思うと、無意識に笑っていた。
「ちょっと!!何笑ってんのよ!!」
「いや、別に」
「雅治のクセに生意気っ」
「何だそりゃ!!何でそうなるんだよ!?」
「バーカ!!」
ああ、空気が軽い──
ここに在ったモノが無くなったのだろう。
思い。
想い。
慕い。
恨み
妬み。
悔やみ。
薄暗いロビーから外に出ると、既に日が傾きかけていた。ほんの短い時間だと思っていたが、長時間病院の中を動き回っていた様だ。