黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~

電車が市橋駅に到着し、帰宅途中のサラリーマンと一緒に下車する。朝から半日近く、あの悪霊に張り付いていた事になる。

赤坂さんは、駅前を俺の自宅とは反対方向に歩いて行く。市橋神社の方角だ。そういえば、新築のマンションが何棟か建っていた気がする。

街灯に照らされた薄暗い歩道を5分ほど進んで行くと、目の前に真っ白なワンルームマンションが現れた。


「このマンションの202号室。笠原君が亡くなってからは来た事がないけど、よくここで女子会とかしてたのよ」

マンションを見上げると、202号室と思われる部屋の窓からドス黒い霧が噴き出していた。
今朝見た感じでは、まだ黒色化しているハズはないが・・・

前にいた瑠衣が振り返り、俺に向かって頷く。
「さあ、行ってみようか」
「おう」


マンションはオートロックで、勝手に入り込むことは出来なかった。そこで、赤坂さんが話しをし、その後ろにコッソリついていく事になった。


 

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