黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~

「やっと入れてもらえた・・・」
赤坂さんが溜め息混じりに呟く。
それもそのハズで、インターフォン越しの折衝が5分以上続いた。突然の来訪を怪しんだのか、来て欲しくない理由があるのか。

「とりあえず、第一関門突破ね。あとは、扉が開いた瞬間に飛び込む。雅治、分かってる?」
「へいへい」
ほとんど犯罪の様な手順だが、他に方法が無い。


しかし、2階でエレベーターを降りた瞬間、余計な考えは全て吹き飛んだ。

「こ、これって、ヤバくないか?」
「・・・うん」
2つ先の扉から、息苦しい程の気配。
全身の毛穴が開き、嫌な汗が噴き出る。
「ギリギリ・・・かな?」
瑠衣が苦笑いする。
「最悪の場合、全力で逃げるか」

扉の前に立つと、霊感が無さそうな赤坂さんも頭を押さえる。それはそうだ、これだけの霊障に影響を受けないハズがない。

俺と瑠衣は中から見えない様に、身を屈めて隠れる。

赤坂さんに目で合図を送る。頷いた赤坂さんがチャイムを鳴らすと、すぐに扉が開いた。

 



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