黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
咳き込む程の霊気を我慢し、瑠衣と共に玄関に飛び込む。扉を開けた部屋の主は、驚きの余り声を出す事も出来ず尻もちをつく。
室内を見て言葉を失う。
部屋の片隅に、黒色化しようとしている悪霊が佇んでいたのだ。
ヤバい。
もう手遅れか?
「だ、誰!?」
マキという女性の声を、俺も瑠衣も無視する。不法侵入など後でいくらでも謝る。今は生命の危機なのだ。
「あ、貴方達・・・今朝お店に来た」
俺を見たマキさんは、大声で叫んだ。
「帰れ!!帰れ!!帰れ!!」
「マキ・・・」
「赤坂さんがグルになってるなんて・・・私に関わらないで、もう帰って!!」
激昂し、鬼の様な形相で睨み付ける。
「そうはいかないわ」
苦悶の表情を浮かべながら、瑠衣が凛とした声を上げる。
「私は知っている」
マキさんの表情が一変する。
「な、何を・・・」
瑠衣はゆっくりと、部屋の片隅を指差す。
俺は朦朧とする意識の中、2人のやりとりを眺めていた。