黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~

瑠衣は自分が指を差した方向に、靴のままズカズカと歩いて行く。そして、ベッドの横という不自然な位置にある、冷蔵庫の前に立つ。

「触るな──!!」
冷蔵庫に手を掛けようとした瑠衣に、マキさんが体当たりする。
「な・・・」
マキさんと絡まる様に倒れ込んだ瑠衣が、唖然とする俺に叫ぶ。
「雅治、冷凍庫を開けて!!」
「は?」
「いーから、早く!!」

何がなんだか分からないまま、俺は冷蔵庫に向かって飛び出した。そんな俺を止めようとマキさんが足掻くが、瑠衣が必死に引き止める。

冷蔵庫に辿り着いた俺は、冷凍庫の扉を開けた。


ああ、なるほど──

その光景を目にしたマキさんは糸の切れた人形の様に、その場で脱力して放心した。

「マキ、あなた・・・」
冷凍庫の中を確認した赤坂さんが、震える声で後輩の肩に手を置く。


そこにあったモノ。
それは、冷凍保存された手首。
おそらく、交通事故の現場から、密かにマキさんが持ち帰ったものだろう。

バラバラになった遺体。
手首がなくなっていても、誰も分からなかったに違いない。

しかし、その行為が笠原さんを・・・


 


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