黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~

意外な言葉に理解出来ずにいると、果穂が柔らかく笑う。

「雅治の部屋で声を掛けたのは私。その数珠を用意したのも私」
「え・・・どうして?
そのまま会いに来れば良かったじゃないか」
「んー、それはムリ。・・・だったかな?」


果穂は笑顔で前に立つと、人差し指で俺の鼻を押す。

「私はさ、雅治君が思うよりずっと、雅治君が好きだったんだよ。
雅治君のことを思うと夜も眠れず、朝までずっと考えてたり。
雅治君が他の女の子と話しとかしてたら、イライラしたり。
雅治君と一緒にいると、それだけで幸せで・・・」

「果穂」

「雅治君は、私の幸せの全てだった。
私はずっと、雅治のそばにいたかった!!」
「果穂!!
俺も、俺にとっても果穂が全てだった。
いや、今も俺の全てだ!!
果穂がどんな姿になっても、例え俺にしか見えなくても、これからもずっと一緒に」
「ムリ!!」

「か、果穂・・・」
「それは、ムリなんだよ・・・」






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