黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
果穂はクルリと背を向け1歩2歩と歩き、再びこちらを向く。
「だって私、悪霊になっちゃうもん。
こんなに想いが雅治君に残ってるんだよ?
絶対に悪霊になるよ。
自信ある。エッヘン!!」
「果穂・・・」
「雅治君も見たでしょ?
あの交通事故に遭った女の子。
どうしてもお母さんに伝えたい事があって、あの交差点で悪霊になっていたのを・・・
あの子よりさ、私の方が絶対に未練が強いから、間違いなく私は強力な悪霊になるよ!!
あははは!!」
笑えない。
笑えないよ、果穂。
「もし悪霊になったら、そのうち理性を失って黒色化する。
私とずっと一緒にいたら、私は雅治君を殺してしまう」
病院で遭遇した悪霊。
執着心だけが強くなり、怨念の塊になっていた凶悪な存在。
「大丈夫だよ、果穂。
果穂になら、喜んで殺される。そして、悪霊になって、ずっと一緒にいるよ」
「ダメだよ。そんなの、私が自分を許せない。
それだけは、絶対にダメ!!」