黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
「そして・・・
私の自惚れでなければ、雅治君は私のことが何よりも大事」
「当たり前だろ!!」
「ありがと」
満面の笑みを浮かべ、ゆっくりと果穂が近づいて来る。
「だからだよ」
「何が?」
「さっき見たでしょ?
雅治君の想いが強くても私は悪霊になって、いつか雅治君を殺してしまう。だから、私はそれを雅治君に渡したの」
「それ?」
果穂の視線の先、手首に巻かれた数珠を見る。
そして、同時に瑠衣の言葉を思い出す。
・・・覚悟?
「好きになり過ぎてしまった。
だから、もうこうするしかなかった・・・」
「な、何のことだ?」
「黄泉送りの数珠。
それは、霊を強制的に成仏させる法具。
そして、それを使用するには3人の魂を昇華させる事が必要・・・」
言葉を失った。
俺は果穂と別れる為に、悪霊を成仏させてきたのか。
「好きだよ。誰よりも好き」
果穂の手が、そっと俺の頬に触れる。
「果穂!!」
強く強く、俺は果穂を抱き締める。