永久の想々Ⅰ【えいきゅうのそうそう】
「殺すのは無理そうだし、次の命令に移すとするよ」

シュドは小さく息を吐くと、よく手入れの行き届いた剣を鞘に収めた。


「空いてる部屋はある?あんたを殺せない場合、見張りを命じられてるんだけど」

「部屋はある。一階は好きに使え」

「…」

シュドは意外そうな表情で、私をまじまじと見ている。


「何だ?」

「いや、自分が思っていた答えと違ったから。断るでしょ、普通」

「お前が居ようが居まいが、何も変わりはしない」

「それってあんたの目から見て、俺の存在なんて無いも同じって意味?」

「そういう事だ。球体の壁があるとはいえ、命を吸い取る死神女だ。関わらない方が身のためだ」

「ふ~ん。まっ、俺はあんたの見張り役になった訳だし、仕事はさせてもらうよ」


言いながらシュドは、足元に置いていた大きな荷物を肩に、家の奥へと向かった。


―何も変わりはしない。部屋で目を閉じ闇に寄り添う。
下から聞こえる微かな物音も、次に目を開けた時には、いつも通り無音へと塗り替えられているのだろう。
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