永久の想々Ⅰ【えいきゅうのそうそう】

「おはよ。起きてる?お~い」

軽い数回のノックの後、通りの良い声が部屋中に響いた。


昨日シュドという男が来た事を思い出す。
…すっかり忘れていたな。
「………」
目を閉じ意識を沈める。
部屋から出ていないのは分かるはずだ。返事もなければ、やがて諦めるだろう。


「悪いけど、出てくるまで起こし続けるけど?俺、諦め悪いんだよね」

自分の心の声が聞こえたのかと、胸を押さえる。
我ながらバカな事を思ったものだ。
そんな事あるはずがない。


椅子から立ち上がると、自然と溜め息が出た。


ドアの前に立つ。


「…私の事は放っておけ」

「それじゃ、見張りの意味がないし」

「部屋から出てない事はわかるだろう。二階にはもう上がってくるな」

「あんたさ、飯ってどうしてんの?

「…人の話を聞いていたのか?」

「あんたこそ見張りの意味分かってんの?対象が見えないんじゃ、見張りなんて意味ないし」

「…」

「今更 出ていけと言われても、やること変わんないから。あと、さっきの質問の答えは?」


なんだ…。この何処かが沸き立つ様な感覚は。
…あぁ、そうか。これは
「お前、憎たらし男だな」

「そりゃ、ど~も。で、答えは?」
シュドは平然と答える。
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