君と金魚、夜
「お母さん!いきなり入ってこないで!」
「あら?お取り込み中?ごめんなさいね」
「もう…あっ」
電話からは呼び出し音が鳴っている、あたしは反動で電話をかけてしまっている。
「早くお風呂入りなさいね」
「分かってるから!もう!」
あたしは部屋からお母さんを追い出す。
そして携帯を見る。
3秒、4秒、5秒。
「えっ、もしかしてかかってる?」
『何?どうした水希』
「嘘、ごめんなさい」
『なんで謝るんだよ?別に俺怒ってないし』
あたしが思っている以上に普通の声で、まだ何日も経ってないのにすごく聞きたかった。