君と金魚、夜
水外金魚
夏の間水泳部しか使っていないプールは案外澄んでいた。
掛けてしまった満月が水に反射してキラキラしている。
あたしは3コースと書かれた場所に座る。
「やっぱ夜だから冷たいな」
洸人さんがプールの水を触って言う。
「洸人さん暑いの苦手だからちょうどいいと思いますよ」
「そうだな、夏も夜は好き」
「あたしも夜好きです、こんな時間は初めてだけど」
「連れ出してごめん」
「大丈夫です」
水面が風に揺れている。
「水希泳げる?」
「うーん、人並みには…」
「嘘、お前泳げなさそう」
「人並みには泳げますよ」
「じゃあその証拠見せてもらうために今度海に行こうか」
それはデートの誘いですか?って聞きたくなる。
けど言わないで沈黙になる。