君と金魚、夜
「いい人なのは分かってるし、付き合ってるわけじゃないけどデートはしてる。それは会社としても仕方ないことで」
「じゃああたしが見たのもデートか…」
「そうなる」
「結婚目前ですね、もうそれ女の人からしたら付き合ってます」
「そういうもんだよな、迂闊に行動することは俺も駄目だって分かってるけどさ、その女の人にも思わせぶりだって思うけどさ」
会社のことと自分の気持ちと女の人のことを考えている。
中途半端だけどあたしは否定したくないと思った。
「あー何の話がしたかったか忘れた」
そう言って洸人さんは水に触れる。
そこから波紋が広がって行く。
そして少し欠けた月が揺らぐ。
そして洸人さんは立ち上がってあたしの目の前に立つ。