君と金魚、夜
こうして洸人さんと2人でいることも考えられなかったのに、何かを望んでる自分が怖い。
あたしは立ち上がる。
そして3コースからプールサイドを歩く。
昼はあんなに暑いのに、夜は風が吹いていて本当に気持ちいい。
言うなら今しかないと思った。
「洸人さん…」
「ん?」
洸人さんが顔を上げる。
「何かもう…あたし洸人さんとか洸人さんの抱えてるものとか大きくて分からないんですけど…ん…」
どうしてか分からないのに泣きそうになる。
見つめられている目が鋭い。