君と金魚、夜
こんなにドキドキしているのに急に眠気が襲ってくる。
今日は気を張り過ぎていたし。
「しばらくこのままでいい?」
「ん…」
「水希、シャンプー」
「洸人さんは煙草です」
「吸わない」
「煙草を吸う人は好きじゃないけど、洸人さんの匂いは嫌いじゃないです」
「好きだよ」
「えっ」
「シャンプーの匂い」
いきなり告白されたかと思って戸惑うけど、洸人さんにそんな気はない。
息ができるくらいには優しく、髪を撫でられる。
夜が止まりそうだ。
でもそんなことはなくて、こんなにゆっくりに感じる時間も実はすごい速さで巡っている。