君と金魚、夜
「あ、あたしのお母さん毎日4時半に起きてて、さすがに4時までに帰らなきゃまずいんです」
「そ、そっか。3時間だけでも水希と話できてよかった」
なんとなく気まずい空気の車。
目も合わせづらい。
解決したこと一つもないけどなんとなく変わった気がした。
「あ、もうここで大丈夫です」
「そっか、うん」
車に乗せてもらったところで降りる。
少し空が明るくなり始めている。
運転席の窓越しに話す。
「なんか本当ごめん、連れ出して、進まない話して」
「そんなっ」
「やっぱりこういうことは危ないし、俺社会人だし、夜連れ出すのはやめるわ」
「楽しかったですよ?」
「…なんかお前に期待しそう」
「えっ?」
あたしが聞き返した時、窓が閉まる。
洸人さんは笑って車を出そうとする。
あたしは頭を下げた。