君と金魚、夜
「最初に見たのは高校の初めての授業の日だった」
華ちゃんが話し始める。
「不良がたまってる場所が通学路にあってね、そこみんなが通れないで遠回りしてたの」
「うん…」
「そこ、水希ちゃんが颯爽と通り抜けてね、不良も何も言わずで最初先輩だと思ってたんだ」
何も覚えてない。
この高校に来ても、なんて思ってて何も考えずに学校に通おうとしてたんだ。
「高2で同じクラスになって初めて水希ちゃんの名前知って、本気で仲良くなりたいって思ったんだ、そしたら水希と春村先生が仲良いの見ちゃって」
「春村先生とは何もないよ!」
「分かってるけど嫉妬しちゃったの」
「あたしに?」
「うん、あたしが見てたのは春村先生じゃなくて水希ちゃんだったんだ、それなのにあたしが春村先生のこと好きだって噂になった」