君と金魚、夜
八月不意





噴水公園。


あたしはそこで洸人さんを待っていた。




「ごめん、仕事が遅くなって…」


「全然大丈夫です!」




もう夜7時を過ぎていた。


あたしは華ちゃんに告白されて、洸人さんに告白しなきゃいけないと思った。


それから予定が合わなくて、ついに今日。




「もう夏休み終わってる?」


「今は補習補習の毎日です」


「そっか…水希も大変だな」


「洸人さんは?」


「ん、相変わらずって感じかな。特別なことは何もない」




あれから顔を合わせてなかったのに、あの時のことは無かったことみたいになってる。


あの時、抱きしめてくれた時、何を考えていたのだろう。


何も考えてなくてただの優しさだったのかもしれない。


でも、もう聞けない。






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