君と金魚、夜
「本当にすみません、弟が泣き出して、気付けば美央がいなくなってしまっていて」
「いえ」
「お兄さん、お姉さん、ありがとう」
「うん!」
「あら…若い二人のデート邪魔しちゃったみたいね…」
「いやっ、デートじゃないです!」
周りからみたらデートに見えるのかって思って恥ずかしくなる。
「じゃ、あたし達はこれで。美央、バイバイ言いなさい」
「バイバイ!」
美央ちゃんが手を振ってあたし達も手を振る。
そしてベンチにまた座った。
子供に優しい洸人さんは初めて見た。
子供だけじゃない、誰にでも優しい。