君と金魚、夜
なんとなく見つめ合う。
やっぱり少しくすんでいる黒い目に吸い込まれそうになる。
このままだと。
そう思った瞬間洸人さんが不意に近づいてくる。
近い。
「水希」
「洸人さん…」
唇が触れそうになる。
その時だった。
けたたましい音で携帯が鳴る。
「あっ、すみません、てかムード台無し…」
「ふっ、いいよまた今度で」
絶対に今キスする瞬間だった。
携帯に表示されたのは華の名前だった。
少し残念で少し安心していた。