君と金魚、夜






すると洸人さんに名前を呼ばれた。


洸人さんは車から降りる。




「何ですか?忘れ物とか…」




そう言った瞬間身体を引き寄せられる。


キス。




「今はまだこれだけな?」




洸人さんの声にも反応してしまう。


夏なのに暑苦しくなくてこのままでいたいと思った。


でもよく考えてみるとここは近所で誰かに見られたら恥ずかしい。


そう思って、軽くあたしの肩にもたれた洸人さんを押し返した。




「近所で恥ずかしいですよ…」


「顔赤い。熱中症?」


「違いますよ」


「ふっ、分かってるから。ではお気をつけて」


「ありがとうございました、気をつけて帰ってください。おやすみなさい」




洸人さんが車に乗って見えなくなるまであたしは突っ立って見ていた。






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