君と金魚、夜
海先輩が腕を押さえつけて、あたしに近づく。
第二会議室の隅で、光が射した部屋で、背の高い海先輩が、あたしに近づく。
海先輩の綺麗な顔が近づいてくる。
「水希ちゃんよく見ると可愛いけど、何人の男と付き合ってんの?」
「そういうの海先輩に関係ないです」
「でも、その愛想の悪さは駄目だわ」
「……」
「俺が変えようか?」
近づいてくる。
距離なんて言える距離もない。
あたしが見えるのは長いまつげくらいだった。