君と金魚、夜





「とりあえず美味いもん食ってからにしようぜ」




海先輩はあたしの手を掴んだ。


不意すぎて一瞬どきっとする。


洸人さんもかっこいいけど、海先輩もかっこいい。


目は似てる。


吸い込まれそうになる。




「何が好き?」


「何でもいいですよ、海先輩は?」


「んー俺?いつもは女の子に合わせてるからなー」


「じゃあ今日は付き合うんで決めてください」




あたしは優柔不断。


優柔不断というよりもそんなに人と遊ぶ回数が多くなくて何も知らない。




「あれ?水希ちゃん付き合うって言った?今付き合う気になった?」


「そういう意味じゃないです!」


「分かってるから」


「海先輩ってよく分からないですね」




洸人さん以外の事には軽そう。




「俺人見て動いてきたから、人の欲しがることしか出来ないんだよね」


「ふーん…」


「だから今水希ちゃんがしたいこと当ててやるよ」


「なんですか?」


「兄貴に会いたい」


「…っ」






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