君と金魚、夜
「なんでいるんだ?」
部屋に入った途端、洸くんの声が低くなって、空気が凍りついた。
「海志」
「海先輩…?」
海先輩は笑っていた。
あたしは、部屋にいるのが海先輩って分かった途端繋いでいた手を離した。
そういえばよく洸くんの部屋に転がり込んでたって言ってた。
「金曜日の夜女子高生を自分の部屋に連れ込む24歳って、兄貴もやるね」
「どうして勝手に部屋にいる?」
「怒んないでよ、前からたまに上がり込んだりしてたじゃん」
「海志、帰れ」
「冷たいな、俺は弟だろ?」
そう言いながら立ち上がる海先輩。