君と金魚、夜





「ごめん…まだ…」




両手で壁に寄りかかりバランスを取り、それで精一杯らしかった。




「飲ませていいですか?」


「ごめんな」




あたしは男の人の目の前に立って、ペットボトルを出す。


男の人がペットボトルを咥える。


あたしが傾けていく。


近い距離で見たらますます綺麗な顔。




「あっ…すみません…」




あたしの傾け方が悪くて、男の人の口から水滴が流れていく。


それでも男の人は水を飲み続ける。




< 29 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop