君と金魚、夜
スーツに煙草。
スラッとした背に、顔。
もう分かってしまう。
自分から近寄ることは出来なかった。
あたしから行くといかにも待ち伏せしてたみたいで、それに昨日無断で帰ったことも気まずい。
それにもう関わらなくていい、これ以上は関わらなくていい、と思った。
あたしはあの人が歩く方向に気づかないフリをして、噴水の周りを一周して帰ろうとした。
少し気になって、噴水を通して向こう側を見る。
「…っ」
目が合ってしまった。