君と金魚、夜
「あの時はごめん、すぐ終わると思ってたのに上司に止められて1時間かかって、怒ってない?」
「怒ってないです、ていうか…あたしの方こそ昨日ここに来てないです…」
こう言うのは申し訳ない。
しかも怒って無視してると思われたとは。
「怒ってないならそれでいい、安心した」
「怒られましたか…?」
「そりゃあ社会人なんで上の方から、でも俺はまだまだ平社員だから会社には影響なかったし」
「そうなんですか…」
そこまで怒られてないらしくてよかった。
やっぱりこの人は綺麗だ。
何度も思う。
夏に不似合いなスーツも、この人なら許せる。
「お礼をしたいって話、今日これから暇なら付き合って欲しい」