君と金魚、夜
「わざわざありがとうござ…い…」
その時だった。
恥ずかしくてあまり前を向けてなかったあたしが前を向いた瞬間。
顔近い。
今まで気づかなかったけど、すごく近い距離にいたようだ。
上から見下ろされている、その人とは10センチも無いんじゃないか。
そう思った瞬間、拒否反応であたしは後ろに倒れかかる。
というよりバランスが取れなくなって倒れる。
拒否反応、というのはその人が嫌だったわけじゃなくて、その距離で人と向き合うのが始めてで戸惑ったということ。
「大丈夫?てか前見てなかった?」
「見てなかったです…」