この未来を壊して下さい。【完】
花火は暗闇を照らすかもしれない。
「もー姫羅ちゃん遅いよー」
私がベランダに出れば頬を膨らませながら駆け寄って来る陽輝。
「ごめんね。ちょっと片づけてたら遅くなっちゃった」
「えー片づけなんて後でもいいのに」
そう言いながら私の手を引っ張り手すり側に移動する。
無駄に広いベランダではみんなお酒を片手に花火を見ている。
「きれい」
思わず呟いてしまうくらいきれいで、もっと早くから見たかったな~なんて思う。
「俺さ~」
花火大会も後半分となったころ、ゆる~く、ゆる~く話し始めた弘輝。
ちょうど花火の準備なのか、空はただ真っ黒で、これからの話を暗示しているかのよう。
何を話されるかなんてだいたい予測はつく。