この未来を壊して下さい。【完】
「峰崎組の跡取りなんだ」
消えそうな声で言った弘輝の表情は見えない。
「...」
私も顔を動かさずに聞く。お互い視線は花火が上がる方向。
他のみんなの事は知らない。
でも、話し始めたのに驚かないということは、話すことをあらかじめ伝えておいたのかもしれない。
「なんで、俺だったんだろうな」
他にも候補はいるのに。そう言った彼に今までのヤンキー独特の雰囲気は感じられない。
「なりたくないの?」
「出来ればなりたくないな。そんなこと言ってもどうにもならないけど」
「違うでしょ」
私はそんなことが聞きたいわけじゃない。